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スイカの種がタネ!!
国内屈指の種苗メーカーが
我が街にあったのだー |
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夏の味覚といえば、スイカ。暑ければ暑いほど甘みを増し、水分補給にも最適。全国各地では、300種類以上ものスイカが作られているとかで、とにかく日本人は好き。しかし、その種の80%が奈良県産って、知っていた!? しかも、そのほとんどは我が街天理にある「大和農園」さんが送り出しているのだ! 「スゴイ! でもそんな会社どごこあったっけ??」と思うでしょ。あるんです、確かに。そこで早速、スイカの種をタネに訪ねてみた。
文:T.I.写:K.Y.
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《肩書き・役職・学校学年等一切の表記は、掲載時のものです》(1997年夏の号掲載)
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こんな所に!? ◆◆◆
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| 大和農園の本社は前栽町。近鉄線路を挟んで広がる |
近鉄天理駅から電車に乗ると、前栽駅を過ぎてすぐ、右手にガラス温室が見える。その線路向かい、左手が大和農園の本社。
前栽駅のすぐ南側、乗用車1台がやっと通れる道を西へ。「ほんまにあるんかいな」などと言いつつ進むと、ぽかんと広い構内に出た。
訪ねれば広々としたオフィス。応対してくれた(株)大和農園種苗販売部の山下勝治主任(さわやかな青年ではあった!)の案内で、さっそく見学。農場、温室、倉庫…と、実に広い。これが市内??と、不思議な気分。
時代の先端を行くバイオの研究もしていると聞いたが、企業秘もありそうで、つい遠慮してしまった。
資料を貰うと、創業1920(大正9)年。資本金1億8,000万円。ほんで、昨年6月期の売上高が40億円。「花の大和」など園芸関係のグループ企業を合わせると、タキイ、サカタなどに次いで国内では3番目の大手だ。
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甘い香りに誘われて ◆◆◆
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| 年120日も全国を巡っているという山下さん。販売と情報収集のため |
山下さんと階下に降りると、何やらほのかに甘い香り。
「ちょうどいいところに来たね」と吉田裕社長。見れば、卸売市場のような場所に、ずらっとスイカの列。各列に符号が付けられ、列の中ほどではスイカがスパッと二つ割りにしてある。ちょうど「品種比較試験」の最中。同社の新種、他社のタネから作ったものなど34類、数百個のスイカが並んでいるのは、実に壮観。
品種ごとに、重さ(大きさ)の分布、空洞、縦長果、裂果の出現率などが記されている。割った果実では、係員が色やタネのつき具合などを見、中心部と周辺部の糖度を測る。
そして試食。吉田社長自らスプーンで味をみていく。横では、取締役販売促進部長の中西正幸さんも、スプーンを握ってシャリシャリ。二人で、しきりに話し合っている。
山下青年に尋ねると、これが結構複雑。まず「シャワ味」・・・水分の量によるらしい。「糖度」・・・糖度計でも測るが、舌ならではの“しつこさ”や“あっさり”感などをみる。
「味をみてごらん」との社長のありがたい言葉に、山下青年の説明をよそに、記者もシャクシャク。「うん、うまいっ。香りも違いますねぇ」などと言っていると、「スイカではあまり重視されませんが、メロンの場合は香りも重要」と山下さん(しまった、メロンの試験の日に来るんだった!)。
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時代が変われば・・・ ◆◆◆
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「やっぱり赤い方が甘いんでしようねぇ」との甘い質問には、「消費者の好みです」との答え。「カット販売する場合、赤い品種は蛍光燈の下では果肉が黒ずんで見えるから、明るい色の品種が好まれる」との話。単純に色だけでは分からないようだ。
一隅に、ラグビーボール型(アメリカ風)の小振りな品種が並ぶ。「昨年のO157では、カット販売に打撃を受けた。といって、丸のまま買うと冷蔵庫が狭くなる。そこで、この形が出るようになったんです」と。時代変われば、形も変わるのだ。
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叩いて分かる ◆◆◆
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| 自らの舌で味わい確かめる吉田社長 |
一番気になっていた、音で味が分かるかを質問。回答は「分かります!」との事。
たたいてPonPonとか、TonTonと音が高いのは〇。TenTenと低くなると、中に空洞が。BoteBoteなどの音だと、「中が熟れすぎてるか、大きな空洞」があり×。「まだ熱してない若いものも高い音がしますが、そんな物はまず出荷してませんから」との話。
並んだスイカを叩いてみると、確かに音の違いはある。叩きつつ、「これっ!?」と指差すと、山下青年がうなずいてくれた(自信つくなー)。
「産地では、音で空洞のあるスイカを選り分ける機械もあるんです。でも厳し過ぎましてね。多少の空洞は味にもそう影響しませんし、商品として十分通用しますから」。
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小さな種子で大きな収穫を ◆◆◆
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帰り際、「新種苗‘97〜‘98」という『大和農園野菜種子目録』をいただいた。オールカラーA4版116pのずしりと重い目録には、さまざまなスイカ、メロンはもとよリ、八百屋でみる野菜はほとんど載っている。
そして、その多くに「天理交配」と記されている。つまり、大和農園で交配してできた新しい品種。この街で生み出された野菜のタネが、日本中に出荷され、各地で栽培され、やがてこの街の食卓に戻ってくる……。そう考えると、何か嬉しい。
目録の冒頭に、吉田社長のあいさつが載っていた。その中には、
「小さな種子(いのち)から、大きな収穫(みらい)が得られますよう、品種改良の原点にたちかえり、日々研鑽して」
とのフレーズがあった。より美味しく、よりよい実りを。うーん、何とも夢のある仕事じゃあないか。
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