潜入取材は失敗! 
  but.
話だけは聞いたぞ

 本誌創刊号(昨年4月)巻頭の「天理新人ビギナー度チェック」で、「天理が日本一の生産を誇っているものは?」と質問。多数の読者から「知らんかったわー」と驚きの声を頂戴した“フスマの引き手”(フスマに付いている取っ手の金具だよ)。「どこで作ってるの?」の声に応えて、探偵団が出動したが……。“壁”は扱った! 取材:K.S.

《肩書き・役職・学校学年等一切の表記は、掲載時のものです》(1995年冬の号掲載)
フスマの引き手 全国シェアのトップ!

 ウスーイ金具。だけど、バカにしちゃいけない。そこにはそれ、プロの創意工夫が光っている。1個ン10円から、ン万円まで、種々様々。手数も材質も、これまた千差万別!。残念ながら、工場見学も、モチロン撮影も許して貰えなかったけれど、(取材者が怪しいンだと)、話だけは、聞かせてもらえた。とりあえず、報告しよう。


 まずは、市役所近くの「天理市商工会館」(知ってる?)を訪ね、“引き手”を作っている工場を教えてもらった。商工会館のショーウィンドウ(商工会館にショーウィンドウもないか。でも、ビルの入り口近くにあるモン)には引き手がズラリと並べてある。「ここなら何か教えてくれる」――。記者の”第六感”が働いたのだ!(誰でもわかるがな!!)。二階堂上ノ庄町にある「坂本金属工業所」が最大手とのこと。電話を入れてもらい、さっそくうかがってみた。

◆ 意外に大きい ◆
工場は結構広そう
(提供:坂本金属工業所)

 国道24号線を北へ走り、二階堂の交差点(ラーメンの豚菜館の角)を左へ曲がるとすぐにあった。想像以上に大きな工場だ!(てっきり、“家内制手工業”的な工場−こうば−だと思っていた……)。いつも通り過ぎる道に、こんな立派な工場があったとは。応対してくださったのは、取締役営業部長の坂本敬治郎さん。「工場を見学させていただきたいのですが…」とお願いすると、「それはちょっと……」との返事。落胆する我々に、「やはり“企業秘密”がありまして」と。簡単に考えていた我々が甘かった!!。
しかし気を取り直して“フスマの引き手業界”の歴史や現状について、いろいろと話を聞かせてもらった。

国内シェアの95%

 天理では明治の末期ごろから、ここ二階堂周辺に「引き手」を作る職人がいたという。二階堂に住んでいた人が、大阪の「引き手」職人のもとに習いに出掛けたのが起源とか。その後、昭和30年頃から機械化が進み、天理での大量生産が可能になったという。
現在、天理では8社が「引き手」を生産しており、日本の全生産量の95パーセントが天理で作られているというのだ。なんとも驚く数字ではないか!(……って事はヨ、君のおじさん家も、彼女ン家も、そーれから、もしかしたらかの紀子さん家も、“天理産”の「引き手」を使ってるのかもヨ!!)。

坂本金属工業所…だよ

  坂本金属工業所さんの創業は大正15年。従業員は約70人。ここでは年間、約1,200万個の引き手が生産され、値段も1個100円から15万円までと、まさに”ピン”から”キリ”まで。材質は真鍮(しんちゅう)、鉄、銅など。すべてプレス加工で生産されており、生産工程は4工程から、手の込んだものでは、10工程ほどもあるという。
さて、「引き手」業界の現状はどうなのだろう。「需要は年々、減っています」と坂本営業部長。「冠婚葬祭を家庭でする割合が極端に減るなど、生活様式が極端に洋風化してきています。勢い、住宅内での和室の利用が大幅に減り、『引き手』の需要も減るわけです」とのこと(昔の家はサ、フスマを開けりゃ大広間。そこで祝言=しゅうげん=披露宴や、家中がフスマだから、引き手もタックサン要ったワケ……ウンウン)。
だが、企業努力もさまざまに行われている。フスマだけでなく、引き戸の「引き手」やこれまで培ってきた技術を生かしての“おしゃれ”なお香の入れ物(香炉=写真)の生産も手掛けている(これがサー、金メッキで、幾らすると思う? 10ン万円!それが“売れてる”ンだって。世の中には、リッチな人もいるよなーmumu)。

made in Tenri

 というわけで、工場見学はできなっかたけれど、我が街=天理が誇る「フスマの引き手」の新たな一面を発見できた。伝統とたゆみ無い努力、地の利(高速道が近いってのは大きいね)……さまざまな要素が、全国一のシェアを育て上げてきたのだ!
これからは、日本中どこに行っても、フスマの引き手を見たら、「これは天理で作られてんねんで」(多分? ほぼ間違いなく? そうやと思うけど……)と友達、友人知己に自慢してやってください。何か、うれしいワナー by.Kouji

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