第5話 しゃもじ形の表札
(1995年夏の号掲載)

  天理だけに見られるというものではないらしいが、市内をブラブラ散歩していると、昔からある町・村の家々の−これを地の家・人とも言うが−玄関先に、なぜか「しゃもじ」をよく見かける。名前が書いてあるが、新手(あらて)の表札ではないようだし…。と、まだまだ世間にうとい若者は、人の一生にまつわる習俗を知らない。
 よくよく見ると、しゃもじと一緒に手形を押した半紙も貼ってある。さらによく見れば、「八十八」「八八」という漢数字が記されている。人の名前と八十八という数字とくれば、これはもう米寿を迎えたしるし以外にはない!
 半紙の手形はテハン(手判)と言い、門口に貼っておくと、さらに長生きすると言われている。ちなみに男性の手判は左手、女性は右手と決まっている。

しゃもじの表札

 次に「しゃもじ」の謎を解く。
 なんて言っても別にたいしたことではなく、知っている人にとっては「なにを今さら」という程度のもの。つまり、しゃもじは飯をすくうもの。飯は米であり、八十八なのである。しゃもじそのものが米寿の祝いを意味しているのである。
 そこで合言葉、「しゃもじに名前を残せるまでがんばろう」。車やバイクを置いて、古くからの町を歩いてみてはいかが!?
  今回も「分かってしまえばそれまで」の不思議でお送りした。つまらなくてもいい、あなたのこれが不思議、あれが不思議などがあれば、どんどんお尋ねいただきたい。知らないことを知っている人に聞く。それが勉強というものだと、担当の不肖・マサオは思うのでありました。by.masao くの旧街道沿い。

 
 
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