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天理の市街地から南に離れ、大和神社を過ぎて上街道を行くと、得体の知れないお堂がある。俗に「真面堂(まめんどう)」と呼ばれている。
江戸時代の『大和名所図会』には、見たままズバリで、「傘塔」と記されてある。1間(約1.8m)四方の小さな建物の中央に、ケヤキで作られた太い柱が建っているだけ。けったいな建造物で、知らない者は「これはなんやろ」と思わずにはいられない。
不思議さに好奇心をあおられて中をのぞいてみた。屋根に隠されたところの心柱の四方に、額が掲げられていて、なにやら怪しげな文字が書かれてある。何かで見たことのある文字だと思っていたら、密教でみかける梵字(ぼんじ)だった。つまりは、「サンスクリット語」だ。南面は「タラーク」、北面は「アク」、東面は「ウーン」、西面は「キリーク」と読むそうだ。
仏の備える5種類の智を成就した如来(にょらい)を表すもので、タラークは宝生如来(平等性智)、アクは不空成就如来(成所作智)、ウーンは阿如来(大円鐘智)、キリークは無量寿如来(妙観察智)を意味している。
5種類だから、もう1種類あるはずだと人 に聞くと、それが中央の心柱で大日如来(法界体性智)を表すそうだ。それでこの建物を正式には「五智堂」と言うとか。
昔の街道筋に何となく建っているが、国の重要文化財である。ちなみに五智堂は、東の山すそにある長岳寺の関係建造物である。
再び外から眺めて、「うーん、わかったような、わからんような……」。由緒正しき建物の前で腕組みなんかしながら、「凡人には梵字は難しい」、な〜んてね。by.m
■天理市柳本町。JR柳本駅近くの旧街道沿い。
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