第1話 首を切られた石地蔵
(1994年春の号掲載)

「知らなければ不思議」。でも、わけを知ってしまえば「なあ〜んだ」てなこと、よくあるよね。天理にも、そんな“不思議”がいっぱいある。
  まずは天理大学体育学部の近くで見つけた。なんと、石のお地蔵さんの首と胴体が真っ二つに切れている。首切り地蔵と呼ばれている。なぜだろう?
  その昔、天理には「じゃんじゃん火」という大きな火の玉が飛び回っていたそうな。戦国時代のころ、東の山に城を築いていた十市遠勝という首を切られた石地蔵城主が、筒井順慶の軍勢に討たれ、城を焼かれた。それで殺された武士たちの魂が「残念、残念」と言っていたそうな。大勢が一斉に言うもんだから、その声が、「じゃん、じゃん」と聞こえたという。怨念の火の玉ということだな。それが石地蔵のところまで飛んで来て、たまたま出くわした武士が、怖さのあまり刀を振り回しているうちに、間違って石地蔵の首をはねたそうだ。で、その武士はどうなったかって?かわいそうに、結局丸焦げになって死んだそうや。
  それにしても、何の関係もないのに首を切られてしまった石地蔵も不幸やな。切られたまま今もじっと耐えているお地蔵さんに成り代わって、「ざんねん、ざんねん」。

 
 
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