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天理市の東は、山また山の中である。今号の特集で、そんな認識を改めて持たれた読者も多いのではないだろうか。かと言って、決して険しい山ではないので、いたる所で人の生活が営まれている。それはなにも現代だけに限らず、東の山中からは縄文時代の遺跡や遺物がたくさん発見されており、古代から今日までズーッと、人間の歴史を育んできた土地なのだ。その割に私たちは、すぐ近くに住んでいながら、山の方の事はよく知らない。町中では味わえない見るべきところがたくさんある。
まず、そのとっかかりを紹介しよう。特集の中にもある「国見山ハイキングコース」を歩く。その登り始め、つまり桃尾の滝の手前、道沿いに小さな社がある。石上大神を祀(まつ)る「石上神社」。町には有名な石上神宮があるが、その源はこの石上神社だと、地元の人は言う。その真偽のほどは知らないが、滝を通り過ぎた上に龍福寺という寺があり、710年ごろ(1,280年前!)に創建され、中世には寺領500石。敷地内には16坊もの建物が並ぶ時代があったとか。今はまったく見る陰もないが、その龍福寺山内絵図に「平大明神社」として、現在の石上神社の地に小社が描かれている。
龍福寺は義淵(ぎえん)という傑僧が興したと言われ、後に日本最初の大僧正となった行基(ぎょうき)も訪れている。さらにかの空海も訪れ、真言密教の大道場だったこともある。
そもそも国見山というのは、国を治め見守るのに好条件の場所だったわけで、そこに偉大な歴史があって当然。石上神社の由来、そして龍福寺の夢の跡を追ってみるのも、身近な山の歴史や生活を知るきっかけになるだろう。by Mori
【写真 】木陰にひっそりとたたずむ小社。千三百年の時の移ろいを刻んだ地だ
(石上神社)
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