(1996年夏の号掲載)

 夏は暑くて当たり前なんだけれど、少しでも涼しみたいと思うのは当然の生理的欲求。ジメジメした湿気と30度を超すような日にゃ、クーラーに扇風機で部屋を氷室神社冷やし、冷たいものを飲んでジッとしていたいよね。
 でも、電気の無かった昔はどうして涼をとっていたのだろう。 部屋には扇風機もクーラーもない。せいぜいウチワくらいだろう。それなりに風通しを良くしていたのだろうが、体内から冷やすとなれば、清涼飲料水はなかっただろうし、まして氷などはあろうはずがない……と思いきや、実は、氷があったんだよね。
 各地の山間部で時々見かける氷室(ひむろ)という場所が、氷の製造工場だった。製造といっても、多くは冬の間に自然にできた氷を夏まで保管していた所で、天理にも福住町にあった。氷の神を紀った氷室神社がそれで、允恭(いんぎょう)天皇の時代の西暦430年からあるというから、かなり古くから氷が作られていたンだ。
 神社の裏手の山に、氷を保管していた大きな穴がいくつか残されている。実際はどの程度保管できたのかは知らないけれど、確かに夏でも涼しい所だ。
 昔から氷があったと言っても、もちろん庶民が手に入れられるものではなく、天皇や将軍・殿様への献上品だった。桐箱に入れて急送したという。それにしても、献上にかかわる人は、冷たい氷を横目に汗だくだったに違いない。By(政)

写真】いにしえ人が、氷を保存していた氷室跡が神社。
    天然氷とは贅沢だよね(氷室神社)

 
 
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