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本書の「あとがき」には、次のように記されている。
かかわった記者は全員、精神医学や心理学にはずぶの素人。インターネットで情報を得、書店に足を運んで、それぞれの項目にもっともふさわしいと思われる先生方にインタビューをお願いした。宗教教団の機関紙という『天理時報』の性格、さらには紹介なしの直接の申し出にもかかわらず、公的機関に籍を置くごく一部の方を除いては、ほとんどの先生方が取材を快諾してくださった。これは、心の病に取り組む専門家ならではの思いの深さの現れだと感じた。
ずぶの素人たちだけに、インタビューの際には、まず自分の分からないことを分かるまで尋ねること、執筆に際しては専門用語をできるだけ避けることを心掛けた。おかげで、この方面の知識が少ない人にも、とっつきやすい内容に仕上がったのではないかと思っている。
元が新聞に載った記事だけに、グラフ、表、メージ写真、解説コラムなども添付され、確かに「分かりやすい」。難解な分野を、いかに“フツー”の人々に伝えようかという、“ずぶの素人”集団の熱意や意気込みさえ、頁を繰るたびに伝わってくるように思えた。
表紙の帯に記された人々の名前を見直して、ナルホドと思えた。ちょっとしつこいけれど、テーマとインタビューに答えた専門家たちの氏名を次に挙げておこう。内容を語るには、多分、これだけで十分だと思うから(よーく知る人が、実は編集者で、まぁ御祝儀というところだけどね)。
【第1部】
・「プロローグ―今こそ、正しい理解と支援を」:中川健治・関西医療専門学校教授(前・天理よろづ相談所「憩の家」精神神経科部長)
・「乳児期・児童期― はぐくむ努力と見守る節度を」:早樫一男臨床心理士
・「疾風怒涛の思春期―子どもと共に悩み、揺れ、成長を」:千原雅代・天理大学助教授(臨床心理専攻)
・「“キレる”子どもたち―『違い』を尊重する姿勢が必要」「“モノ”化する少女たち―周囲との関係を見直そう」:野田正彰・
京都女子大学現代社会学部教授
・ 「転職する若者の心像―隠れた“青い鳥症候群”」「成熟を避ける若者たち―青年期はいつまで続く?」:清水将之・三重県立小児診療センター〔あすなろ学園〕園長
・「結婚をめぐる諸問題」「育児に悩む成人期女性―親になりきれない親(1)」「現代社会と父性―親になりきれない親(2)」:坂口起造・坂口クリニック所長
・「中高年男性の自殺から―心の危機の処方箋」「更年期女性と子離れ―子育てから“自分育て”へ」「中年夫婦の危機―家庭内での“再婚”が課題」:東山弘子・奈良大学教授
・「老いに向かう心の準備―人生の年輪を生かして」「介護を受ける側の“痛み”―“老い”を素直に受け止めて」「いかに死を受容するか―“来る生”信じる大切さ」:大国美智子・花園大学教授
【第2部】
・「酒害をめぐって(1)アルコール依存症―あなたの飲み方は健全ですか?」「(2)若年層、女性、高齢者の病理―酒害問題に年齢・性別は無関係」:植松直道・植松クリニック院長
・「酒害をめぐって(3)依存症からの脱却―“断酒仲間”と絆を深めて、酒害克服へ」:関谷圭一・天理教酒害相談室室員
・「薬物依存症(1)深刻な状況―青少年に蔓延する薬物」「(2)異存や中毒の実像―故人と家庭、社会を蝕む恐ろしさ」「(3)予防と脱却―家庭と地域が連携して対処」:高直義・大阪-久米田病院医師
・「新しい依存症(1)ギャンブル依存症―“心の病” と認識し、適切なケアを」「(2)ギャンブル依存の克服―悩みを分かち合える人間関係を」:山下俊幸〔京都市こころの健康増進センター〕所長
・「PTSD(心的外傷後ストレス障害)をめぐって(1) ―正しい診断と適切な治療を」・「(2)
“心の傷”に目を向けよう―だれにでも起こりうる障害」「(3)トラウマと癒し―正しく認識し、心理療法と薬物療法を」:太田正幸〔明石土山病院〕院長
・「摂食障害をめぐって(1)拒食症・過食症とは―軽視は禁物、命を落とすことも」「(2)なぜ拒食症・過食症に―摂食障害は“病む心”のシグナル」「(3)拒食症・過食症の治療―
親の慈しみが何よりの癒しに」:黒川順夫〔黒川内科院長〕診療内科医
・「糖尿病と心のケア(1)内なる“痛み”に目を向けて―孤独感が強い糖尿病患者」「(2)心と体の密接なかかわり―感情が症状に直結する」「(3)
病を受け容れ共に生きる―周囲の理解と適切な支援を」:石井均〔天理よろづ相談所病院「憩の家」〕内分泌内科部長兼糖尿病センター部長
・「児童虐待―現状と背景―脅かされる子どもの命」:津崎哲郎〔大阪市中央児童相談所〕副所長
・「パニック障害(1)症状と社会的影響―突然に襲ってくる不安と発作」「(2)治療と周囲の対応―正確な病識が早期回復の決め手」:貝谷久宣〔心療内科・神経科〕医師
・「DV(ドメスティック・バイオレンス)―夫や恋人からの暴力―女性の心身を傷つける“権力”の行使」:川畑真理子〔日本DV防止・情報センター〕相談員
・「高齢者虐待(1)実態と背景―高齢社会にひそむ闇」「(2)発見と予防―人との交わりで心をほぐす」:大国美智子〔高齢者虐待防止研究会〕代表・花園大学教授
・ 「アルツハイマー病(1)ぼけの20パーセントは治る病気―早期診断で適切な対処を」「(2)ぼけない工夫、進ませない工夫―頭を使い生き生きと暮らす」:笠間睦〔津生協病院〕内科医長
・「うつ病をめぐって(1)症状と要因―ストレス社会に浸透する“心の病”」「(2)現代社会と『仮面うつ病』―身体症状に隠れて進む“心の病”」「(3)治療についての心得―適切な治療で必ず回復」:関谷透〔初台関谷神経科クリニック〕院長
・「人格障害をめぐって(1) “ボーダーライン”とは―いま“良い子”が危ない」「(2)自己中心性の病―“欲望の時代”に流されない心の強さを」:町澤静雄〔町澤メンタル・ヘルス研究所〕所長
・「自殺をめぐって―未然に防ぐために―急増する自殺、求められる心の絆」:斎藤友紀雄〔社会福祉法人いのちの電話〕常務理事・事務局長
と、目次を採録すれば、本書は“一目瞭然”なんて思って、キーボードを叩き始めて----すぐに後悔した。よくもまぁ、これだけ、現代の“病”を穿り出したもの。担当者の熱意には、ただ頭が下がる。登場するのは見てもらったら分かるように、いずれも言わばその道のわが国の第一人者。それが、コンパクトかつ平易な文章で、要点というか“理解”のための勘所を網羅している。是非、手元に置いておいてもらいたい一冊だと、思う。
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