|
00.10.07. |
||
|
小田 晋 著 |
![]() |
1994年6月27日初版第1刷発行 定価:1,500円税込 |
|
表紙に、“精神的には健康”と思い込んでいる人のための、わかりやすい |
||
|
狂いたい―と、そう思うことがる。こころのバランスを崩し、一つのことに固執し、固着、執着することを、狂うと言い表すことがある。ものに狂い、ことに狂い、男や女に狂い----。常識や、建前やしがらみ、責任----そんな諸々を振り捨ててて、ひたすらに追い、求め、専心する。狂うほどに請い、請い、恋いたいと、そう思うことがある。 だが、そんなミミズのたわごとのばやいじゃない。頻発する青少年による凶悪犯罪。殺してみたかったとか、むしゃくしゃしたとか----。日々のニュースを見ていると、この国は狂いはじめているのではないかと、思う。著者も「この本のはじめに」で、次のように記している。 また、最近のわが国の心象風景の特徴は、なんといっても子どもの心の不健康であるといえましょう。何年か前から、「子どもの心の育ち方が危ない」ということは指摘されていました。しかし、それも、かつて親たちの時代には経験したこともないような、精神病とも神経症とも判断がつかない、掴みどころのない症状を示す境界例とか、不登校、家庭内暴力、子どもの心身症、思春期やせ症、さらにシンナーやトルエンなどの有機溶剤の乱用といった困った問題が次々に起きています。 「厳罰では解決にならない」などと言わず、少年法改正を含む“抑止力”も必要だと思う。やっていいいことと、やってはならない事を、しっかりと教えてやるべきだろう。言葉で「だめよぉ」なんて言っても分からない餓鬼は、殴ってやることも必要かもしれない。手を出せば、保護者が出てくる、マスコミが騒ぐ----。それを十分に分かっていて、教師を挑発し、他の児童生徒の大切な時間を奪う。そんなケースもあるように聞く。子どもは天使でもなければ、純真でもない。親の鏡であり、いまという時代の社会の申し子なのだから。 加えて、親や教育界を含めて、“心の病”に対する理解と、対処方法にもっともっと真剣に取り組む必要があるのではないかとも、思う。親のエゴが、子に映っているようにも思えるから。子が狂うとしたら、親もまたある意味で狂っているのかもしれない。いや、やはり狂っているのだろうと思う。 そして、子どもたちばかりか親たち自身も、とりわけ職場でのストレスがもたらす心身症、燃え尽き症候群、テクノストレス、上昇停止症候群といった心身の不具合に悩む人たちが一般化しています。 とはいえ、本書は青少年の心の病のみを扱っているわけではない。「プロローグ―いま、心を病む人がどんどん増えている」「1章―そもそも『心の病気』とは何なのか?」「2章―人はいかにして『心の病気』にかかるのか?」「3章―まだ他にも『心の病気』あるのか?」「4章―『心の病気』はどうしたら治るのか?」と、いわば心の病総覧。 加えて、「●第二次予防『早期発見、早期治療』」「●精神保健機関での治療のやり方」「●患者さんへの接し方」と続き、末尾には病院、精神保健機関、おもな病院の一覧など、実用に富むリストも添付されている。 きょう大丈夫、だから明日も---とはいえない。私は大丈夫---ともいえない。身近に、こころ病む人々を抱え、接する中で、そう思う。明確な線があって、ここから「異常」、これ以下は「正常」といったものでもない。誰もが、狂気を内に秘めている存在だから、ひもとき、学んでおきたい一書なのではないかと思う。 末尾になったが、著者「小田晋=すすむ」はあまりにも有名。昭和8(1933)年大阪府生まれ。岡山大学医学部、東京医科歯科大学大学院(神経精神医学専攻)を卒業後、現場、筑波大学社会医学系教授。社会精神病理、犯罪学が専攻の医学博士。宗教や犯罪など、さまざまな社会現象と精神病理学との関係を追及。テレビなどにも度々登場して、その広範な知を提供してくれている。著書多数。顔写真を見れば「あーあの人かぁ」との呟きが漏れるほどの、この道の第一人者である。 著者や出版社から一円も貰っているわけではないが、再度コメント。こころ病む人が身近にいる人に、ぜひ、手元に置いてもらいたい一書と推薦しておきたい。
|
||
|
Presented by Takafumi-labo
since 2000.01.20. (C)All Copyright Takafumi-labo. horoyoi@tenri-iexpress.com |
||